降圧剤バルサルタンの臨床試験データ改ざん事件とは

バルサルタンについて説明する男性バルサルタンは主に降圧剤として使用される薬です。
日本ではディオバンという商品名で広く知られている薬です。
近年特許が切れてバルサルタンという名前のジェネリック医薬品も発売されています。
ディオバンはARB(アンジオテンシンレセプターブロッカー)というグループに属する降圧剤です。
ARBはレニン-アンジオテンシン-アルドステロン系においてアンジオテンシンIIがアンジオテンシンAT1受容体に結合するのを阻害することによって血管拡張、循環血液量減少を引き起こし、結果的に血圧を低下させます。
また血圧降下作用に加えて、心臓や腎臓の臓器保護効果に優れているため高血圧症治療初期から積極的に使用されるケースが目立ちます。

また副作用発現率が低く、他の薬剤との飲み合わせの問題もないため安全面でも優れている薬です。
バルサルタンの臨床試験データ改ざん事件に関してですが、この事件はバルサルタンが血圧降下作用に加えて、脳卒中、狭心症のリスクを低減するという趣旨の論文において行われました。
この研究ではバルサルタンと他の降圧剤で血圧降下作用は同等であったにも関わらず、脳卒中や狭心症の発症率がバルサルタンの方が低かったという筋書きで論文が書かれていますが、実際のデータにおいてはバルサルタンの方が比較した降圧剤よりも血圧が低下していたという結果が得られていました。
このデータのままでは脳卒中や狭心症の発症率が低減したのはバルサルタンがより血圧を降下させたことに起因すると考えられてしまうため、バルサルタン投与群の血圧データをより高いものに改ざんし、比較した降圧剤と同等の降圧作用があった、ということにしたのです。
このようなデータを元にバルサルタンは多く処方されていた薬であったため、当然事件以後の処方数は少なくなってしまっています。